私立高校入試



専願と併願

 私立入試では、専願と併願の2つの受験方法があります。専願というのは、 その高校に合格すれば必ず入学する意思を明確にして受験する方法。併願とい うのは、第一志願校は他にあり、その”すべり止め”として受験することをい います。京阪神の私立高校のほとんどは入試日を統一していますから、私立と 私立を併願受験するというケースは稀有で一般的には第一志望が公立で、その ”すべり 止め”として私立を受けることを指します。ただし、奈良県下の私立 は、京阪神の私立より5日早く入試を行いますから、奈良の私立と大阪の私立 の併願受験は可能です。
私学にとって専願受験生は、合格すれば必ず入学してくれる生徒ですから”すべり止め”に受けにくる併願受験生より、合否判定で有利に取り扱うことはいうまでもありません。たとえば、5教科500点満点で専願の合格ラインが 300点とすれば併願の合格点は330点というぐあいに高くなります。専願 と併願で合格点にどれぐらいのひらきがあるか、これは学校によって、また年 度によって違ってきますが、専願が有利であることは動かし難いところです。 ただし一部の高校では専願、併願の区別をしていないところがあったり、専願 者しか受験できない学科やコースを設けている高校もありますので、事前によ く調べておいていただきたいものです。
また、京都の約半数の私立高校では、専願ではなく、推薦というシステムを とっています。各高校によって、それぞれに推薦基準(調査書の評定)があり 、その基準を満たしている生徒が、出身中学校長の推薦を受けて受験するわけ です。それだけに、推薦で受験した場合、不合格になるケースは少ないのです が、合格すれば、専願と同様にその高校に入学しなければなりません。

合否判定

 併願合格者のほとんどは、まず私学への入学のチャンスを確保したうえで第 一志望の公立などにチャレンジするわけですが、第一志望校に合格すれば当然 、私学への入学は放棄します。そして、第一志望校の入試で不合格になった場 合に、あらかじめ併願合格している私学に入学することになりましょうが、併 願合格者のうち私学に入学する率を、一般的に「戻り率」と呼んでいます。「 戻り率」は学校や社会情勢など様々なファクターによって大幅に変動しますが 、最近のデータでは「戻り率」の平均は10%ぐらいです。だから併願者につ いては、ずい分たくさんの合格者を出しても実際に入学してくれるのは10% にも満たない学 校が多いわけです。専願者は合格イコール入学となるので人数 は読みやすいのですが、併願者は不確定要素が多いだけに、どれくらいの合格 者を出せばよいのかが、私学にとっては大変にむずかしいところです。募集定 員にくらべて併願合格者が非常に多いのは、こうした事情があるためです。ほ とんどの場合、公立―私立の併願パターンは年によって変わることはありませ ん。従って、公立の門が広くなれば当然、「戻り率」は低下しますし、逆に狭 くなれば「戻り率」は高くなるわけです。ですから、入学者確保のために専願 受験の有利性を一層きわだたせるような私学は増加の傾向にあります。

回し合格

 2つ以上の学科やコースを設けている私立入試でよく使われることばです。 一例をあげますと、ある高校で英語科と普通科が設置されており、英語科の方 が難度が高いとします。そこで英語科を受験した生徒の中に英語科の合格ライ ンには達しなかったが普通科の合格点はとっているというような場合、英語科 には合格できないが普通科に合格の扱いを受けます。このようなシステムを「 回し合格 」といいます。しかし注意しなければならないことが一点あります。 第一点は、第一志望に英語科、第二志望に普通科と明記した受験に限って普通 科への回し合 格をするケースと、志望には関係なく得点によって英語科、普通 科と合格者を決定する高校があるということです。もう一点は、英語科を専願 受験して普通科に回し合格になっても、やはり専願の扱いを受けます。「英語 科だから専願で受けた。普通科ならば公立を受けたいので併願合格扱いにして ほしい」という希望は原則として認められないと考えておいてください。また 、専願で不合格になれば 、他校受験は自由にできます。

私立入試と内申書

 私立高校入試の合否判定は学力テストの成績が主資料で、内申書を提出さ せたり面接を行ったりしますが、それらが合否に直接結びつくということはま ずないと考えていいでしょう。公立入試のように内申評定を重視しないのは、 私立には通学区城がなく全国から受験できますが、内申書の作成方法が府県に よってまちまちで統一性がなく、比較資料となりえないからです。ごく一部の 私立では合格ボーダーライン上の生徒に関して内申書を参考にしますが、それ も決して大きな比重はかけません。また、大阪を例にとると、公立入試のため の正式な内申評定は、その年の2月末日をもって作成されますが、私立入試は 2月初旬に行われます。このため、私立に提出された内申評定は府教委が定め た10段階相対評価の規定通りになっているかどうかわからないということも 内申評価を重視しない理由のひとつにあげられましょう。面接も、受験生の態 度や受験の動機を確かめ、また、その学校の教育方針などを説明し、それに従 って高校生活を送れるかどうかを確認する程度のものです。面接の際によほど 態度が悪いとか、質問を無視したり、また、反抗的だったりすれば大きなダメ ージとなりますが、総体的にいえば、学力テストの成績が主で、面接の占める 部分はごく僅かなものであると考えてもいいでしょう。

三者懇談と進路相談

 どの高校を選ぶか――受験生にとって志望校選択は非常に重要なテーマです 。いろいろな要素、条件を総合して最終決定に至るわけですが中学校の先生、 生徒それに保護者も加わって志望校選びについて話し合うのをつ「三者懇談」 といいます。そして、その話し合いの結果をもとにして、中学校の先生が各生 徒の志望先の私立高校を訪問して成績などを示し合格の可能性などを打診する のが「進路相談」と呼ばれているものです。不合格者をなるだけ少なくするた めに、また、私立側からいえば、どのぐらいの学力レベルの生徒が何人ぐらい 受験するかをあらかじめつかんでおくために、慣例的に「進路相談」を行って いるわけですが、すべての私立高校で「進路相談」が行われているということ ではありません。また「進路相談」での”判定”は受験生に対して何らの拘束 力ももっていません。「合格の可能性は低い」という”判定”が出たとしても 、受験するか、しないかは生徒本人や保護者の意思で決定するものですし、合 格する可能性も当然あるのです。これとは逆に「合格の可能性は十分です」 と、「進路相談」でいわれたからといって必ず合格するというものでもありま せん。これらの”判定”はあくまでも合否に関するひとつの目安であり実際に 合否が決まるのは学力テストの成績なのだということを忘れないでください。


1.5次入試

京阪神の私立高校(一部の学校を除く)では、毎年2月に日程を統一して入学試験を行っています。そして入試後3日から一週間くらいの期間をおいて合格発表が行われますが、私立高校のなかには合格発表の直後に再度、入試を行うところがあります。  従来、私立入試(2月)の後に公立入試があり、その10日後くらいに私立が入試を行い、これを2次試験と呼んでいました。その1次と2次の間に行われる入試なので「1.5次入試」と呼ばれています。  さらに優秀な人材を求めて行われる1.5次入試ですが、近年では1次で満たなかった定員を確保するために実施するケースもめだってきています。したがって、これは全私立高校で行われるわけではありませんし、実施校もその直前にならないと確定しません。しかし、私立への進学をめざす生徒たちにとっては1次入試で不合格になっても、再度私立にチャレンジできるチャンスには違いありません。1次入試で合格を勝ちとるのがベストなのはもちろんですが、万が一失敗したときのために「1.5次入試」の存在も覚えておくとよいでしょう。