<太成学院大学高等学校 国語科主任 小山 敦也 先生>
「一点」を積み上げる 四つの方法
高校受験では、同じくらいの得点力の受験生が同じ高校の同じ学科を受験することが多いため、他の受験生より「一点」でも多く得点することを考えて答案を作成しなければなりません。ここで国語という教科で、「一点」でも多く得点するためにはどうすればよいかをお話ししたいと思います。
まず第一に、これは国語に限ったことではありませんが、答案は可能な限り大きく、濃く、丁寧に書いてください。小さすぎる字、薄過ぎる字、乱暴な字は、採点する時に非常に読みづらく、採点者も厳しい目で注意して見ることになります。採点対象外にされることもありますので、答案を見直す時に、「読みづらいかも」と心配な字は、一度消して書き直したほうがよいかもしれません。
第二に、国語にも正確な暗記が直接得点に結びつく設問がありますので、知識量を増やしてください。具体的には、漢字の読み書き、語意、慣用句、四字熟語、文学史などです。とくに漢字は、公立高校はもちろんどの私立高校でも、十問程度は確実に毎年出題されています。音読みよりも訓読みを苦手とする受験生が多いようですから、訓読みに強くなることをお勧めします。また文学史は、作品名も作者名も全て固有名詞ですので、漢字で正確に覚えてください。「徒然草」なら正解、「つれづれぐさ」なら不正解です。暗記には、必ずしも1時間2時間のまとまった時間は必要ありません。5分10分のこま切れの時間をぜひ活用して知識量を増やしてほしいと思います。
第三に、設問を注意深く読んで解答してください。選択問題では「適切なものを選びなさい」と「適切でないものを選びなさい」とを間違えた解答を、また記述問題では「本文中から抜き出しなさい」と「本文中の語句を使って説明しなさい」とを間違えた解答をよく見かけます。このようなうっかりミスが合否を左右する場合もあります。
第四に、出題の意図をよく考えて解答してください。私が記述問題の採点をする時は、まず「解答の中に当然入るべき語句が含まれているか」を、次に「設問にふさわしい終わり方をしているか」を見、最後に「日本文としておかしくないか」を確認します。とくに「あなたの意見を述べなさい」という設問でないかぎり、国語は「見つける」教科だと思います。出題者は「この語句を見落としてほしくない」、「この文に注目してほしい」と考えながら出題しますので、その語句や文を必ず解答に使ってください。それは一つだけとは限りません。また「なぜですか」という設問では「から」で、「どのような状況ですか」という設問では「という状況」で終わることを出題者は期待していますので、終わり方にも注意を払ってください。読み直しも大切で、「主部と述部が対応しているか」、「係り受けがおかしくないか」をよく確認してください。このような作業が、減点のない完全な解答を生むのです。第三と第四については、練習問題を繰り返し解くことで対策するしかないと思います。
受験まであと数カ月、悔いの残らないよう、しっかり受験勉強を進めてください。
【 以下は過去年度の掲載 】
<清教学園高等学校 国語科教諭 二村 純 先生>
問題作成者の意図を読みとろう
高校受験生のみなさん、国語の入試問題を作成し採点する私たちにとって、問いは大きく二種類に分けられます。それは、「ことばの知識をたしかめる問い」と「読解をとおして、ことばを使う力をたしかめる問い」です。
前者は漢字の読み書き、語意、慣用句、四字熟語、作品名などを問います。知識を問いますから、正しく知っていることを示すことがポイントです。漢字の書き取りでは「はねる」「とめる」「つきぬける」などがあいまいだと、減点や誤答とします。また、しっかり身につけてもらいたいのは訓読みです。
後者は、内容読解の問題です。設問の形式は、選択、抜き出し、条件付き記述などバラエティーに富んでいます。みなさんも、設問中の「本文のことばを使って」、「〜字以内で」などの条件指示が正解へのヒントであることはご存知でしょう。ですから設問は注意深く読まなくてはなりません。ときどき、注意深さを確かめるため、「適切でないものを選べ」と意地悪な問い方をする場合もあります。
問題文の内容読解にもっとも時間をかけるのは、問題作成者です。作成者は文章をこまかく分析して、小説ならば「行動」と「心理」、論説文ならば「事実」と「主張」などを整理します。そして、同じ内容の言い換えがあるところ、比喩的表現、理由づけ、具体例、変化が起こったところ、原因と結果の関係などが正確に読み取れているかを問います。そういう意味で、作成者と同じように正確に、しかもはじめての文章を限られた時間内に内容読解できるかが、「合格」「不合格」の分かれ目になります。その読解内容を、問題作成者と受験生が書きことばでやりとりをするわけです。一種のコミュニケーションと考えられます。傍線部をじっくり読むうちに、なぜここに設問したかが見えてくれば、あなたは作成者と互角の勝負ができます。
このとき、特に「あなたの意見を述べなさい」というのでない限り、「自分のことばで…」と指示されていても、皆さんの個人的意見を求めているわけではありません。書かれていることばどおりを、常識的に考えることが必要です。
記述の答案作成には、型と組み立てを意識してください。「なぜか?」と問われたら「〜だから」、「どういうことか?」と問われたら「ということ」と文を終えるのが型です。次に組み立てですが、記述内容を考える際には、もっとも簡潔に書くならばどう答えるか、つまり答案の柱がなくてはなりません。私たちが長文記述を採点する場合、それがあれば六割以上の評価をします。つづいてよりよい答案にするには、根拠づけをする、「〜ではなくて」と記述内容を明確にするために工夫する、どういう範囲で言えることかを押さえる、など設問によって要素を付け加えてゆきます。すると、矛盾した内容や、主部と述部が対応しない文になることがあります。そこで、複雑なときは、単文を接続詞でつないでください。
あと数カ月ですが、以上のことを日ごろから意識して練習すれば、国語以外の教科にもいい影響が期待できます。悔いの残らぬ受験勉強をしてください。
<平安女学院高等学校 国語科教諭 平野 熙尚 先生>
入試までのアドバイス
本を読むことが基本ですが、それは十分な時間がある一年牛二年生のうちにとりかかるべきです。三年生は問題集による解答練習に励むのが一番です。
現国の場合は伸び率が悪く、急な成績アップは望めません。そこで、点がとれる暗記ものを確実に仕上げて模試の点を上げておきましょう。
@漢字の"読み"から手をつけよう。
表外漢字などの難読文字も手当たり次第読むことです。漢字テキストの"読み"のページに目を通し終えたら、今度は"書き"ページの解答欄を読みます。短期間に多数の漢字に接することを目標にして下さい。入試に出題される"読み"の配点は四〜六点です。しかし、それを確実にものにすることがとても大切なことです。
A文学史に手をつけよう
現国分野で暗記ものといえば、文学史です。まず、作者と作品のリストをつくりましょ
う。せいぜい百項目も暗記すれば十分です。これも配点はわずかですが、点を取るには手っ取り早い方法です。
B問題集に手をつけよう
できるだけ多くの問題に接するべきです。過去問を調べて傾向をつかんでおきましょう。
◎ここでは評論文解答の基本を記しておきます。
1.キーワードを見つける第一段落に何度か同じ単語、または同じ意味の語が使われていれば、それは読解の鍵となる語(キーワード)だ。
2.キーセンテンスをみつける
キーワードを含む文で「…である。」「…だ。」のように断定しているところは要チェックだ。第一段落の断定文と第二段落の断定文を並べて見て、内容が矛盾していなければ君のセンスに自信を持ってよい。各段のキーセンテンスをつないでいけば要約文になるはずだ。
3.「つまり」「要するに」の後の文は要注意
作者がわざわざまとめてくれている箇所だ。これを無駄にする手はない。
4.「それ」「これ」などの指示語に注目する
指示語の内容を求められたら、前へもどれ。その指示語の二-四行前の文の中に答が隠されている。答を見つけたら、念のためその指示語のところに代入して文意が通じているか確かめておこう。
<上宮太子高等学校 国語科主任 木戸 俊治 先生>
● 間違い解答のチェックを
毎日の受験勉強は、なかなか先の見えない不安なものですが、決してあせらないように進めてください。また、合格答案を作るために、普段から次のような点に注意し取り組んでください。
@ 現代文の問題について
a.本文の読み方
- (小説の場合)「いつ」「どこで」「だれが」「どうした」の構成を読み取り、登場人物の心情をつかむ。
- (説明文の場合)文章のすじ道を正確にたどって読む。
- (論説文の場合)筆者の考え方・主張をしっかり読み取る。
>LI>(随筆の場合)ひゆ・反復などのそれとなく示されている表現により筆者の心情・主題を読み取る。
どの分野にも共通することですが、本文に書いてあること以外何も考えないことが大事です。
A 設問への答え方
a.基礎問題(漢字・接続 詞・指示語など…)
- やさしい問題の反復練習により完 璧なものにする。ここでつまずくと得点が伸びません。
b.「どういうことか」「なぜか」を問う問題
- 答え方に注意すること。「どういうことか」なら、「〜こと」、「なぜですか」なら「〜から・〜ので」。質問の意図をしっかり理解する。
c.選択問題
- まず設問をしっかり読む。本文と「あう」ものを選ぶのか、「あわない」ものを選ぶのか。そして、各選択肢のまちがっている部分を探し、消してゆく(消去法)自分の考えていることをダブらせないように。
d.字数制限問題(本文より抜き出す場合)
- 「字数制限」は大きなヒントになります。抜き出すだけの作業ですが、写しまちがいには十分注意すること。
e.字数制限問題(考えて解答する場合)
- 解答の中の主述関係をはっきりし、最後の句点を一字とすることを忘れないように。字数は指定よりも多くても少なくてもだめです。九割を目やすに書くこと。本文中のキーワードをしっかり探すこと。
B 古文・漢文の問題について
- 古文は親しみにくいものですが、文章が短く、話が単純明快なのが特徴です。だから、何回も何回も声に出して、読み親しむことが大事です。主語の省略が多いので注意。
C 文法・文学史について
- 動詞の活用など重要なものはしっかり暗記する。その後、よく出題されるパターンをくり返し学習する。
- 文学史は国語便覧など利用し、作品・作者名・設立時代を漢字で正しく書くこと。
まちがった所を「どういう解答を書けばいいのか」という確認作業を必ずすることが大事です。この苦しみが春には喜びになることを心から祈っています。
<大阪信愛女学院高等学校 国語科教諭 今福 謙 先生>
今は、志望校突破に向けて、厳しい日々を過ごしておられることでしょう。あなたのライバルも、同じように頑張っています。そのライバルたちは、あなたと同程度の学力の持ち主です。同程度の学力を持ち合わせていても、高校に入学定員が設けられている以上、全員が合格できるわけでないのは当然過ぎる話です。そのために、どんなに多くの受験生が1点に笑い、1点に泣いてきたことでしょうか。
この1点の重みを、受験後ではなく、今の段階で、強く心に刻んでほしいのです。日頃の答案に1点を加点する、ここに、合格答案の書き方≠示唆するものがあります。
以下、あなたに、今日から、さっそく心掛けてほしいことのいくつかを述べておきます。
まず、志望校の、過去数年の出題傾向を調べましょう。現代文であれば、評論・随想・説明文・小説・韻文、それらがどのように取り扱われているかを、丹念にみておいてください。今年に関して言えば、サン・テグジュペリ「星の王子さま」、淀川長治「私の映画の部屋」といった、比較的読み易い文章から、林屋辰三郎「日本人の知恵」、吉川幸次郎「中国の思想」のように、筆者・タイトルをみただけで頭が痛くなりそうなものまで、いろいろです。今のうちに、頭の痛さを体験し、免疫を作っておきたいものです。
古文では、例年、説話集からの出題がほぼ半数を占めています。この分野について言うならば、中学校の教科書だけの学習では対応できません。「習うより慣れろ」を実践しましょう。書店に行くと、高校受験用の参考書は、簡単に入手できます。なお、漢詩・漢文を出題する高校は少ないようです。さて、あなたの志望校の傾向はどうですか。
たとえ、運悪く、出題傾向に変更があったとしても、あなたの労苦が無駄に終わることはありません。そこから得た知識が、本番の答案に生かされないわけはないからです。
次に、「正解は文中にある」ということも忘れないでください。正解のヒントは必ず文中のどこかに潜んでいるのです。限られた時間の中での、ヒント探しの競争に勝つ方法は、何と言っても、日頃の鍛錬です。
さらに、書き取り・文法・文学史・慣用句等、知識の量に関する設問でのミスは、致命傷になりかねないということも肝に銘じておくべきです。
以上、国語においては、知識と読解の能力を試すものという前提で述べてきたつもりです。どちらの学習もおろそかにできません。合格答案の書き方″業は、すでに始まっているということです。
<摂陵高等学校 国語科主任 和田 幹男 先生>
高校入試まであとわずかですが、最後の仕上げは順調に進んでいるでしょうか。国語学習に悩んでいる受験生諸君にアドバイスをしたいと思います。
学校ではよく国語学習法について質問されます。国語という教科はどのように学習すれば実力アップするかというたぐいのものが質問の大半です。そこで受験直前の学習法にも通ずる合格答案作成のための学習の基本的な考え方を説明します。
まず考えなければならないことは「読む」ということは、書き手(文章)と読み手がいて、その両者の間で言葉のキャッチボールをするということです。読み手は問いを発しながら読みを進め、文章はその問いの「答え」を投げ掛けます。この繰り返しです。つまり一方通行的に読んでいないわけです。その点を注意する必要があります。
入試問題が受験生にとって常に疑問を発するほどの興味のある内容とは限りません。個人的な興味をもって読み進めることは当てにはできません。ですから日ごろから意識的に問いを発することが重要になるわけです。入試直前であってもこのことを意識して読むと、今までとは違って文章が立体的に理解できるようになります。身の回りにある文章すべてがキャッチボールの相手になるわけですから国語は学習するのに便利な教科とも言えます。
次に合格答案とは何か、を考えます。問題文と受験生(読み手)が向かい合っています。そこで言葉のキャッチボールがなされるわけなのですが、そこに出題者が登場してきます。ここが大切なポイントなのです。読みの基本は書き手と読み手のやり取りになるのですが解答する場合、出題者の発する問いに従って読まなければならないのです。出題者の読みと自分の読みとを確認しながら、自分勝手な独断的な読みに陥らないように修正します。
以上のことを踏まえてまとめます。問題文を読むときは自分で問いを発しながら読む。解答するときには、出題者の問いの流れを意識してしかも問いのポイントを押さえる。つまり、出題者は私(受験生)に何を答えさせたいのか、出題者の求める解答の根拠は何か、を考えて答える。そのためには、「問い」をよく読む。相手の要求通りの球を投げること。慎重かつ丁寧に書くこと。球に集中すること。注意を喚起させミスをしないこと。
以上のことはトレーニングで獲得できるものばかりです。苦しい受験の季節を乗り越えてほしいと思います。



